【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ



 そうして部屋に辿り着き扉を開くと部屋はただ夕日が差し込むばかりで、中には誰もいなかった。窓は開け放たれているというのに、風一つないことでカーテンはぴたりと窓に張り付くようにして、動きひとつしない。シルウィンが静かにアウラの動きを察知しようとしても、彼の気配は感じなかった。違和感を覚えながら部屋に入ると、いつも血を飲むために使っている短剣を隠す場所に、便箋が置かれているのを見つけた。シルウィンはそれを手に取って開くと、そこに書かれた文章をなぞるように読んでいく。
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シルウィン・リグウォン様

 季節の挨拶は、省略させてほしい。時間がないというのもあるけど、きちんとした手紙を書くことは初めてなんだ。ずっと言伝とか、そういうのが多かったから。だから用件だけ伝えるね。部屋に俺の姿が見えなくなって、驚いたと思う。今までこういうことは無かったから。ただ、俺にはやらなくちゃいけないことが残ってて、その為には少し屋敷を空けなくちゃいけなくなったんだ。カーティスはとりあえず、君に害を為す意思は無さそうだけど、君は心配だと思う。だから、俺の部下をディルセオン家の使用人に紛れさせることにした。君が手紙を読み終えるのを見計らって、扉をノックさせるようにするから出迎えてあげて。血はきちんとその部下、名前をシアンというんだけど、シアン経由で渡すから。君が飲んだ瓶に君の血を入れてくれるともれなく俺が死なずに済む。だからよろしく。

最後まで勝手でごめん。

            アウラ
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「なによこれ」



 シルウィンが呟くと、そのタイミングを狙ったかのように扉がノックされた。シルウィンが手紙を懐にしまい扉を開くと、確かに見慣れない男が立っている。