どうして、今まで私はこの男に怒りを向けていたのだろう。どうして私は、この男と戦おうとしていたのか。こんな男に勝って、なんの意味があるのか。そもそも勝負すらなっていない。勝負をする価値もない。シルウィンの心が際限なく冷えていく。それに気付かないカーティスは、柔らかく笑みを浮かべた。
「君は優しいな……ありがとう。君なら、俺とアウラ、そして君で、三人仲良くやっていけると思う」
紡がれた言葉に、シルウィンの中で時が止まる。たった今、カーティスの言い放った一言。そこにシルウィンは、自身とアウラに入り込まれたような、穢されたような錯覚を覚えたからだ。シルウィンは先ほどとは打って変わり、不機嫌さを抑えながら頷く。
「そうですわね」
「ああ。君には、食事の席で無礼なことをし続けた。使用人に命じて、君に食事と言えないようなものを出せと言ったこともある。でも、もうそんなことはしないから出来れば俺とも食事をしてほしい。これからは、三人で」
「……カーティス様がそうおっしゃられても、使用人たちはそうではないのでは?」



