【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ



 一人一人の顔を思い出したシルウィンは、懐かしむように話をしていく。するとアウラが、しみじみと呟いた。

「君にも、大切な家族が、いるんだよね……」
「そうね。大切だわ。そんな家族を築けたらと思ったけれど、まぁ無理ね。かといって、結婚を拒めば王家に対して角を立ててしまう。だから私は心底あの男を苦しめて、ぼろぼろにして遊ぼうと思うわ」
「なるほどねえ」

 二人の間に、沈黙が訪れる。その沈黙を二人は苦痛に感じることはなかった。ただ黙って、風の音や時計が秒針を動かす音に耳を澄ませる。

 そうして互いに、自分たちの手が互いの手と触れ合うような位置にあることに気付いた。二人は自然に、互いの手を近づけていく。

 手と手を握り合おうとした瞬間、部屋に向かってくる誰かの気配を感じた。二人は目配せをして、そっとソファから立ち上がる。