夜の闇を抜けて、そっとシルウィンとアウラはディルセオン家の別邸、バルコニーへと降り立った。時間はすでに日付を過ぎていて、屋敷の部屋は殆ど灯りを消されている。二人は物音を立てぬようそっと部屋の窓を開き、部屋の中へと入った。そうして燭台に火を灯すと、どちらともなく深く息を吐く。
「本当に、今日はありがとう」
「いいえ」
アウラは、力の抜けたようにしてシルウィンに笑いかけた。その灯りに照らされたアウラの姿を見て、シルウィンは今アウラが髪を一つに結び、男のような装いをしていることにようやく気付く。
しかし変わらず仮面はつけられたままで、その顔を伺い知ることはできない。シルウィンはアウラがソファに座ったところを見て自分もその隣に腰を下ろすと、アウラは労わるようにシルウィンに問いかけた。



