【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ



「っまさか、その……短剣は」
「そうだ。これは王家に伝わる呪具の一つ。吸血鬼殺しの短剣だ。この剣を胸に受ければ、どんな吸血鬼であろうと灰になり朽ちていく、古から伝わる呪具の一つ……そして、王家に伝わる、最後の呪具だ……!」

 大公は、アウラから逃れようとする。しかしすかさずアウラはぶつかるようにして大公の胸へとその短剣を突き刺した。大公は崩れるように膝をつき、一点を見つめる。そしてはくはくと口を動かし、虚ろな意識で「何故、それを……」と繰り返した。

「受け取ったんだ。呪具をすべて破壊するのなら使ってもいいと。そしてこれは最後の一つ。チャンスは一度しか無かったからこそ、俺はマルヴァータの屋敷の人間を調べなければいけなかった。この短剣はただ人間の命を奪っても、滅んでしまうと聞いていたからな」
「そんなっ、私は、私はまだ、生きて、これからを、私は……私は!」

 アウラの手にあったはずの短剣は、徐々に砂が風に流されるように朽ちていく。同時に嘆き叫ぶ大公の肉体も足先から灰と化し、脆く崩れ始めた。アウラはその様子を見つめながら、独り言のように呟く。