「そうなるね。まぁ、同胞を食らうということについて初めは思うところがあったけれど、四人目あたりから特に思うことはなかったよ。それに大人だけではなく、子供など容量が少なくて済む種類もあった。そして私自身、生きていくうえで必要だった」
大公の言葉にアウラは顔を顰めた。彼は大公の言葉にどこか意味があるように感じたからだ。すると大公は指を鳴らす。すると瞬時にその顔と体形が夫人のものに変えられた。
「私はねえ、こうして血を吸った相手の顔や身体へと自分の身体を変質させることが出来るんだ。だから吸血鬼を食すということは、その分身体や顔を得られるということ。フィノスレードの民たちの顔には、ずいぶんと世話になったさ」
「……もしかして、お前は、元は大公じゃなく……別の」
「ああ。想像の通りだ。私は大公として産まれてはいない。この顔の男が幼き頃に成り代わったのだよ。そして、多情の女と結婚した。色んな男の子を孕む腹は、いわば私の顔を量産するにふさわしい。けれど私の子を孕んでしまっては困るからね。私は私しか信じられない。懸念を残したくないのだよ。だからあの女の身体に問題があることにした」
「じゃあ、侍女の娘は……」
「ああ。あれは私の顔の弟の娘だ。妾に産ませて困っていてね。私の子にすればいいと言ってやったら喜んで娘を差し出してきた。いわば優秀な予備というものだ。私の顔に都合が悪くなれば、あの娘を使える」



