アウラが、自身の村について、そして自分自身の家族の消息について調べ長い年月を用いてわかったことは、自分の村が王家、そしてある吸血鬼によって、呪具の量産実験に用いられたということだった。王家には、人間が吸血鬼に唯一対抗できる呪具が、古来から五つ伝わっている。
吸血鬼を殺すための杭、短剣、香炉、銃。そして吸血鬼の目を眩ませる羽衣だ。どれも一度用いればその役目を終えるもので、短剣と香炉は時の流れによって失われ、そして杭、銃、そして羽衣は、かつての王太子が男爵家の令嬢と共謀し、メアロードの侍女をさらったときに全て使用され廃された。
よって今、王家に伝わる呪具は一つも残っていない。この国は、昔から東のメアロード領、南のシャイルリード領、そしてかつて北に領地を構えていたフィノスレード領と、リグウォン以外の東、北、南の国境が含まれる領地はすべて吸血鬼が統治し、守っている。
人間の手によっては死なない吸血鬼を、兵士として扱う。そんなに効率のいいことはない。だが、王家はそれと同時に吸血鬼を脅威として考え、呪具を持つことで吸血鬼に対し、己の権威を見せていた。しかし、呪具が失われたことで、その均衡は崩れ去った。だからこそ、統治に焦った王家はリグウォンの娘と自身により近い公爵家の婚姻を強引に進めたのである。



