にも関わらず、シルウィンの向けるそれは、アウラの中へと自然に入っていった。以前までは、ただ利用価値のある傲慢で煩い女としか思っていなかったはずなのに、徐々にシルウィンへ向ける想いは完全に変わった。
(だからこそ、今の俺に、シルウィンはいらない)
今までの自分であったなら、アウラは早々にシルウィンの能力を用いて、むしろシルウィンを囮にして大公と夫人、どちらが吸血鬼なのか暴き立てているはずだった。なのに事前に調査済みであった大公の娘にその問いをさせた。
最も効率的な方法は、大公と夫人の前にシルウィンを連れていき、その場で質問をさせシルウィンを殺しにかかったほうを殺せばよかったはずだった。最悪シルウィンが殺されたとしても、その時に自身は復讐を遂げられている。だから後の命は惜しくない。以前のアウラであれば、そう思えたはずだと今のアウラは考える。
しかし、アウラは出来なかった。今まで何を失っても奪っても遂行すると誓ったはずの復讐が、たった二か月ほど前に出会った女のせいで、揺らぎを、綻びを見せてしまっていた。



