アウラはシルウィンの髪を一束手に取り、そこに口づけを落とす。そして瞳を閉じると、意を決するようにその瞳を開き部屋から出て、その扉に鍵をかけた。そうしてアウラは扉に背を向け、シルウィンの元を去っていった。
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シルウィンを眠らせた後、アウラは使用人に今日の湯あみは遅くなること、そして食事は不要なことを伝え、単身でマルヴァータの屋敷へと向かっていた。貴族たちの屋敷の屋根を伝い、その間を飛びながらアウラはマルヴァータの屋敷へと駆けていく。
「シルウィンは、きっと怒るだろうな」
アウラは風を切りながら、シルウィンに対して思いを馳せた。今までアウラは、シルウィンが自分のことだけで、アウラに対して決して興味や関心を求めていないところに安堵を覚えていた。
しかし、カーティスがシルウィンを襲ったあの夜を超え、徐々にシルウィンの関心が感謝の色を纏って自分に向けられていくのを、アウラは痛いほどに感じていた。



