「はっ、はい! すぐに!」
侍女は傷を指摘されたのが恥ずかしかったのか、緊張しながら足と腕を同時に出してみたり、躓いて見せたりする。その姿を見て、シルウィンはどこか納得いかない気持ちを抱えて侍女の後ろを歩いていた。
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「娘は吸血鬼ではなかったわ」
ディルセオンの別邸、アウラの部屋へと戻ったシルウィンは、まるで自分を見届けるように遅れて部屋へと戻ってきたアウラに開口一番そう伝えた。アウラは「そっか……」と考え込んだように返事をして、ただその場に立ち頷く。
「じゃあ、公爵夫人ってことか。吸血鬼は……」
「ええ。娘は血は恐ろしくて、痛いそうよ。果実みたいに美味しそうじゃない? と問いかけたら、仮面もつけずそう言っていたわ」
「それじゃあまるで君が吸血鬼だと明かしているようなものじゃないか」



