【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ


「血って、何だか私とても好きなのよ。真っ赤な果実みたいで、とても美味しそうに見えない?」
「え……、私は、あまり……。どちらかというと怖いなって思います。血が出ると痛いですし」

 シルウィンは、注意深く侍女を見つめた。しかしシルウィンの目には相変わらずその素顔が見え、仮面が形成されていくそぶりはない。しかしその腕に、奇妙な切り傷のような二点を見つけた。

「……その腕の傷は?」
「あっ私、あまり器用ではなくて……知らない間にすぐこういう傷が出来てしまって。色んな方にご心配頂くので、本当に申し訳なく……」
「そうなの。早く治るといいわね」

 シルウィンの指摘によって、侍女はさっとその腕を恥ずかしそうに隠した。シルウィンは違和感を抱えながらも侍女からチョーカーをあてる手を離す。

「うん。長さも申し分ないわ。実はいくつか作ってきたのだけれど、同じものをサイズが合うかわからないからといくつも持っていくのも相手に迷惑がかかるでしょう。だからあなたの手を借りたんだけれど、忙しいところ悪かったわね。客間へ案内してもらえるかしら」