そして今日、シルウィンは王都にやってきて、ディルセオン家に向かいそのまま婚礼の儀までディルセオン家で花嫁修業をし、丁度三か月後の今日、カーティスと晴れて夫婦になるのである。
(かつて出会ったことはあったけれど、もう当時の記憶はないはず。でもまぁ、私を見ればすぐに好きになってもらえるはずでしょう)
シルウィンが夢想していると、彼女を乗せた馬車はゆっくりとその速度を落としていく。もしやと彼女が期待をして窓の外を注意深く見ていくと、ディルセオン家の家紋が描かれた大きな旗が風を受け大きく揺らめいていくのが見えた。
この国の旗は、公爵家であるならば全て紋を囲うように葉が連なる紋が描かれる。そしてその旗が存在を知らせる屋敷に、シルウィンは大きく目を見開いた。
(素敵なお屋敷……!)
まるで、少女の夢を描いたような景色が、そこには広がっていた。白地の外壁に、空をそのまま映したかのような屋根は、まるで双子のように二つかわいらしく並んでいるように見えた。その屋敷を取り囲むこだわり抜かれた木々と花々。



