他人は他人。自分の人生が一番大事。それはシルウィンが掲げてきた人生の目標、いわば指針である。にも関わらず、他人であるアウラと接し、他人であるアウラに手助けをしようとしている今、シルウィンが感じているのは、どこか満たされたような何かであった。
(変な感じだわ。別に嫌ではないけれど)
シルウィンは聞こえてきた足音に、そっと窓から視線を外す。そして廊下の先へと目を向けると、執事が大公の娘である侍女を伴いやってきているところであった。
「お待たせいたしました。シルウィン様」
「ありがとうございます。それではまたお願いをしてしまうのですけれど、準備がありますの。ですからその間、夫人と、少し……」
「かしこまりました。では失礼いたします」
シルウィンが執事に対し、夫人に向け暗に時間稼ぎをして欲しいことを伝えると、執事はしっかり務めるよう侍女に目配せをし、礼をして客間へと向かっていく。その姿が消えるのを見計らうと、シルウィンは侍女に顔を向けた。



