しかし、ここまで偽りについてあるがままを受け入れようとする者は、アウラの生きてきた長い年月の間にもシルウィンのみで、アウラは戸惑うものがあった。そんなアウラを前に、シルウィンは堂々とアウラを見据える。
「で、どうして私を利用しないわけ? こんなに可愛くて、マルヴァータ夫人に気に入られて、それで嘘を見抜ける力があって、命の契約をしているから、あなたを裏切らない女。協力者としては、こんなに適した吸血鬼は他にいないと思うのだけれど?」
どこまでもはっきりと、そして真っすぐなシルウィンの物言いに、アウラはさっき自身の覚えた心の欠落が僅かに埋まるのを感じた。そして、自身の闇にシルウィンを引きずり込む覚悟を静かに決める。
「……マルヴァータ公爵家については、どこまで知っているの?」
それは、アウラにとっての覚悟であった。しかしそれを知らないシルウィンは、首を傾げマルヴァータの屋敷について思い返していく。



