【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ


 その記録は、借りるときにシルウィンも見ていた。だからこそ、シルウィンはその書籍によって、ふと浮かんだ疑問を解消することを期待したのだ。

(……前に、アウラは自分の村が消えたと言っていたわ。そして、マルヴァータの庭園にはこのくにの地図のようなものがあり、一点だけ色の違う、まるで印をしたかのような箇所があった。もしかしたら、あの場所がアウラの村があった場所だったら……。アウラの村が消えた原因に、マルヴァータの家が関わっている可能性があるに違いないはずよ。だって、関係ない村に印なんてしないもの。そして、私の憶測が正しければ、アウラの復讐の標的は、マルヴァータ家……)

 シルウィンは、以前アウラが自分の村について、地図から消えたと言っていたのを思い出していた。そこから、最近本に載っている地図にはなく、そして遥か昔に記された、古い本にはアウラの村がのっているのではと仮説を立てたのだ。

 『救いを求む声に慈悲の手を差し伸べた王たちの記録』は、王家や政に関わる者の検閲がされず世に出され、図書館に寄贈さえされなければ、出回ることのなかった本である。こんなにも優れた条件を満たす本は、他になかった。