「……ありがとシルウィン、あとはまた明日だね。じゃあ、人間の食事をしに行こうか」
アウラはシルウィンの血を飲み干し、グラスをテーブルに置いた。そして自然な流れで食堂へと向かおうとする。シルウィンもそれに頷きかけ、寸前のところではっとして足を止めた。
「待って、話は終わっていないわ。というかあなた、意識的に話を逸らしたわね? ……やっぱりあなた、マルヴァータの屋敷にいたでしょう」
「気のせいだよ。気のせい。ほら、行きましょう、シルウィン様」
アウラは扉を開き、余所行きの口調へと変える。このままシルウィンがアウラを問い詰めれば、きっとアウラの何らかを、邪魔する結果になるだろうとシルウィンは考え、口をつぐんだのだった。
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「……よし、と」
シルウィンが、マルヴァータ夫人の屋敷に招かれた晩。二人の部屋の窓には月が差し込み、部屋の中の影は僅かな月光によってその色を濃くしていた。



