普段、シルウィンはそういった人々を見れば羨ましいと思い、その秘訣を聞きたくなる。しかしマルヴァータ夫人に対してだけは、不思議と憧れも羨ましさも感じることがない。
(不気味に思ってしまうのは、何故かしら……)
シルウィンは、マルヴァータの仮面を見る。その面積はアウラのものより圧倒的に少なく、アウラのように子供が書きなぐったようなおぞましい線も刻まれていない。マルヴァータの仮面を通しアウラに思いを馳せていると、庭園の奥で、不意にアウラらしき影を見つけた。
「えっ」
シルウィンが声を漏らす。マルヴァータ夫人がシルウィンの視線の先を追おうとするが、咄嗟にシルウィンは「この薔薇、たしか私の友人も育てていたものです!」とすぐ近くの薔薇を指で指し示した。



