【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ


「そんなに見入ってくれると、きっと庭師も本懐を遂げることが出来たでしょうね……」

 シルウィンが疑問に思っていると、そんな彼女に寄り添うようにしてマルヴァータ夫人が隣に立った。シルウィンは夫人の仮面に戸惑い、そして持ち直すようにして笑みを浮かべる。

「とても素敵な庭園で、見て楽しむという価値を改めて勉強させて頂きました」
「ふふ。でも、見て楽しむだけじゃ、つまらないと思わない?」

 マルヴァータ夫人は、まるで宝物を隠す子供のように笑う。そして振り返り、そっと後方を指で指示した。シルウィンが振り返ると、料理人が台車を運んできているところで、その後ろには使用人たちが机やクロス、花瓶などを持ち、近くまで来ると粛々と準備を始めていく。

 するとクロスやカトラリーを運ぶ侍女たちの中に、シルウィンはどことなく見覚えのある人物を見つけた。しかしどこで会ったのか、シルウィンは思い出せない。

(会った。いや、それより、どこかで見た顔……)