【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ


 シルウィンは、自分が襲われてからずっとアウラが男を感じさせないよう努めてきたことを分かっていた。自分を傷つけないよう、怖がらせないようアウラが気を使っていたことを。シルウィンを見てアウラはしばらく考え込むと「分かった」と、久しぶりに繕わない声色で返事をした。シルウィンはアウラのそのままの声を聴いて、懐かしさとともに自身が恐怖を抱かないことに安堵する。

「それで、貴方の血を飲めないと、私は生きられなくて、それは貴方も同じということでいいのよね?」
「うん」
「ならこれから地獄の果てまで、末永くよろしく。仮面の吸血鬼さん」

 シルウィンは屈託のない笑顔をアウラに向け、手を差し出す。アウラもその手を取り仮面の下でほほ笑む。そんな二人に鼓舞されるように、窓からは力強い風が絶え間なく流れていた。



「ねえ、見て! 可愛いでしょう。このドレス! 私の可愛さを引き立たせるに相応しい可愛らしさだわ!」

 シルウィンが、吸血鬼となって、そして完全復活を遂げて十日。シルウィンはアウラの部屋で、好きなように作り替えたドレスに身を包み、大きな姿見の前でくるくると上機嫌に回っていた。