【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ


(私、アウラと別れて、それで石を投げていたら背後に気配を感じて……振り返ろうとしたら……頭を殴られてそのまま、池の中に突き飛ばされて……)

 シルウィンは殴られた頭のあたりを手で触れた。殴られたとき、シルウィンはそこに発火したような熱や激痛を感じたが、そこには傷一つない。しかし夢でなかったことを証明するように着ていたドレスは別のものに変わり、髪からは湯あみのしたてのような石鹸の香りがした。

「アウラ、私は……頭……を、殴られて、池に、落ち……たのよね」
「そう。そして死んだわ」

 寝台の隣に置かれた椅子に座るアウラは、きっぱりとした口調で答えた。その返答にシルウィンは意味も分からずアウラを怪訝な顔で見た。しかしアウラの顔を見ると、そこに線が引かれていない。そのことにシルウィンは顔を顰める。

「え、何よ。死んだって、全然今の状況がのみ込めないわ」
「私が戻ったら、シルウィンは、死んでいた。だから生き返らせて、池の水で臭かったから湯で洗って、着替えさせて寝かせたのよ」
「あなたが、溺れていた私を助けてくれたの……よね?」
「……助けられたら、良かったのだろうけれど。残念ながら間に合わなかったわ」

 そう言ってアウラは俯いた。シルウィンの目に、アウラの仮面が線を増したようには見えず、シルウィンはより混乱を覚える。さらにアウラは「物がよく見えたりしないかしら」とシルウィンに問い、シルウィンが頷くとアウラだけが納得したようなそぶりを見せた。