そして早くシルウィンの元へ戻るかとアウラは踵を返し、その静けさに違和感を感じて足を止めた。
(今日は、風が吹いていない……からか? それにしても何かがおかしい気がする)
直感的に嫌な予感を覚えたアウラは、ドレスの裾をつまみ池へと戻っていく。するとそこにシルウィンの姿は無かった。
鈍器で頭をなぐられたかのような、目の前が真っ白になり目が眩んでいくような気がしながらアウラは「シルウィン様!?」とシルウィンを呼びかけながら周りを見る。すると池の、かなり深いところでシルウィンの身体がうつ伏せで浮いているように見えた。
「シルウィン様っ」
アウラはすぐさま池に飛び込み泳いでいく。しかしドレスが邪魔でなかなか思うように進まない。やがてアウラはシルウィンの肩を掴み、陸へと戻していった。その間シルウィンに何度声をかけてもシルウィンは言葉を発することなく唇も瞳も固く閉じたままだ。頭には何かで殴られたような血が流れ、その血が池の水と混ざり合っている。
「シルウィン様、シルウィン、シルウィン」
シルウィンを陸に引き上げたアウラは、何度もシルウィンに呼びかける。しかしシルウィンは目を覚ます様子はない。それどころかその体温は恐ろしいほど冷たく、自身がいない間に殴られ、それを池に流されたのだとアウラは直感的に理解した。



