【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ


 二つ目は、アウラの身の上について、話をしたことだ。シルウィンが自身の嘘を見抜くことをアウラは知っている。そしてそれが真実を見抜く力であることも。

 だからこそアウラは自分が何者であるかをシルウィンに伝えておらず、シルウィンがアウラについて「どうせ嘘をつく」と考え、なおかつ「腐っても公爵家に入り込める人間であるのなら触れないほうがいい」と他人事でいたことを十分に利用し、以降説明することは一生ないとアウラは思っていた。

 しかしアウラは、シルウィンが泣いているのを見て、咄嗟に彼女の気を逸らす必要があったと考えた。以前自分が絶望を覚えるような、村で自分以外の人間が突然消失したときの自分と、涙を流すシルウィンが重なって見えたのだ。アウラはあの時自分が何かしていればと考え、家族が消えた我が家の光景を繰り返し思い出していた。

 しかし、思い出し続けたところで意味もなく、自分を責め続けたところでその命が帰ってこないことをアウラは知っている。知っているからこそ、分かりやすくシルウィンの気が逸れるものとして、自身の身の上の話を選び取った。

(もう、このまま進めば。二度と戻れなくなるんだろうな)