姉のカレシの、闇に溺れて





◆紗和side◆




 言い争いをしているであろう、お姉ちゃんと悠一さん。


 どうしよう……


 南瀬くんに『どうしよう』と、目で訴えかける。


「…………とりあえず、姉ちゃんと姉のカレシのやり取りをここで聞こう」


「でも……」


「今は下手に入らない方がイイ」



 ――南瀬くんの意見はいつも間違いがない。


 南瀬くんの言うとおり一歩も動かず、お姉ちゃんと悠一さんの話し声を玄関先で聞く。


 今もし、別れ話をしてるんだとしたら。


 ”紗和が大事”


 ………私は悠一さんから、見捨てられてなんてなかった。