カヴァスは腕を組んで顎に当てると口を開いた。

「不思議なことに、二つとも木の樹冠にあったんだ。討伐部隊が地上を血眼になって探しても見つからないわけさ」

 樹冠にあったということは魔物から逃れようとして必死に上へよじ登ったのだろうか。考えたくはないが魔物の攻撃を受けて吹き飛ばされた可能性だってある。

(手がかりがボロボロってことは怪我を負って動けなくなっているんじゃないか?)
 手の中にある頭巾と瓶底眼鏡をしげしげと見つめる。

 燻る不安を抑えながら、イザークは純真無垢な笑顔を向ける少女との出会いを思い出していた。