「ええ。お父様は仕事が多忙だったのと娘への接し方が分からなかったのを理由に距離を置いていたみたいなの。私が手紙を送ったことは何故かお義母様にバレて叱られたそうだわ。お義母様、普段は別の領で領主代行をしているから会ったことはないけど……」
そこでロッテが歩みを止めて口を閉じた。
丁度前方から先日ロッテを虐めていた三人組の侍女が大股でこちらに向かってきている。
「ちょっと! この間は私分をわきまえるように忠告したはずよ? どうして先輩に逆らうわけ?」
キッと睨みつけてくる侍女たちにシンシアは口元を露骨に歪めた。
(まったく懲りない人たちね!! 自分の仕事が嫌で無理矢理ロッテに押しつけただけじゃない!!)
腹底から怒りが沸々と込み上げてくる。