あの夢の続きをもう1度描けたら


お兄ちゃんはお茶とお菓子をローテーブルに置いた。

そして恥じらいを見せる柚子を見つめてとても嬉しそうに微笑んだ。


「……」


お兄ちゃんの優しい笑顔はよく見かけるけど、ここまで優しい笑顔を初対面で見せるのは珍しいな。

もしかしたら柚子チャンスあるんじゃないか?


ここはわたしが行動してみよう。


「ちょっとトイレ行ってくるね。お兄ちゃん、柚子ひとりじゃ退屈だろうから話し相手してやって」

「了解しました」


わたしが立ち上がると、反対にお兄ちゃんも柚子の隣に座る。

それを見届けた後、わたしは部屋を出た。


……その直前、柚子が可愛く睨んできたのは見なかったことにしよう。


トイレも済まして、部屋に戻るのはまだ早いと判断したわたしはリビングに向かう。


「雛乃、お母さんちょっと買い物に行ってくるわね。迅にお風呂洗っといてって伝えといてくれないかしら?」

「ん、言っとくね」

「ありがとう。じゃ、行ってきまーす」