「はいはーい。柚子、行こっか」
「うん……」
さっきから柚子がそわそわしてるんだけど……。
柚子の様子があまりにも変で思わず訝るような瞳で見つめてしまった。
部屋に柚子を招き入れると、彼女は大人しくちょこんとローテーブルの近くに腰掛けた。
違和感の塊でしかないのだが、一体柚子に何が起きたんだろうか。
「……雛乃とお兄さん、仲良いね」
そう思っていると、柚子が口を開いた。
わたしはそうだねと頷いて、柚子を観察する。
心なしか頰がピンク色に染まっている。
そして嬉しそうに笑みを零す。
普段と違いすぎて本人確認を行いたいところだけど、これはもしかして……
推測してみるものの、その結末はなんとも複雑だ。
「ねえ、柚子。もしかしてお兄ちゃんのこと……」
「言わないで!」
柚子に確かめようとしたら、勢いよく遮られた。
これは答えを言っているようなものだ。



