あの夢の続きをもう1度描けたら


わたしは懇願して、柚子に45度頭を下げて誠意を示す。

そんなわたしを見て柚子はやれやれとため息をついて了承してくれたのだった。


……というわけで急遽、柚子がわたしの家に来ることになりました。


「いらっしゃい〜」

「ゆっくりしていってね」

「お邪魔します……!」


対人用の声で笑顔を振りまく柚子だけど、珍しく声が上擦っている。

お兄ちゃんとお母さんにお出迎えられた柚子はぺこりと軽い会釈をした。


「雛乃と仲良くしてくれてありがとう」

「い、いえ……っ」


柚子はとんでもないと手を振って「こちらこそいつもありがとうございます……」とたどたどしい口調でお兄ちゃんに返事した。


身内と友達のこういうやり取りほど気恥ずかしいものはない。

照れ臭いから今すぐにでもやめてほしいんだけど……。


「ちょっとお兄ちゃん!」

「ごめんて。後でお茶とか持っていくから」