くっ、柚子は今日も冷たい。
少しくらい優しくしてもいいじゃんか……!
「まじでヤバい……テストのことすっかり忘れてて何も勉強してない」
「それはヤバくない?」
「だよね!? ほんとにどうしよう……」
ただでさえ要領が悪いんだ。
これから1週間詰め込んでも、赤点回避できるかどうか不安でしかない。
前まではお兄ちゃんが教えてくれたけど、今回は邪魔できない。
大学の課題とか大変そうだし、それにもしかしたら……トラオムのことも抱えているかもしれないし。
でもそんなこと言えるわけない。
だから……柚子に教えてもらうしかない。
「柚子! 勉強教えて!」
「あんた、家で勉強できるタイプなんじゃないの? 家で大人しくすれば点数くらい取れるでしょ」
「あれはお兄ちゃんが教えてくれるから……!」
「だったらお兄ちゃんに頼れば?」
「大学の課題で忙しいから頼れない! 柚子、お願い! テスト終わったらタピオカ奢るから!」



