自分が国の反撃者になるかもしれないのに、まだ知り合ってからの日が浅いわたしの味方になってくれる。

そのことがひどく嬉しくて、涙が込み上げてきそうだった。



***



煌びやかなトラオムの王宮のとある一室。豪華絢爛な部屋の中で男性ふたりが話していた。

ふたりの関係性は主と従者だ。


「対象の方となるヒナノ様の捕獲の件ですが、ユキ様がせき止めた模様です」


「そうか、ユキか……さすがだな」

「騎士の報告によれば、アラン様もユラハ様の姿も確認できました。ただ……」

「ん? なんだ?」

「もしかしたらヒナノ様が光の魔法使いかもしれません。ユキ様が赤と光の混合魔法を使っていました」

「……そうか。ご苦労だった。下がれ」

「失礼いたしました」


従者を労い、部屋から出るよう指示すると、彼はそそくさと出て行った。


「……厄介なことになったな」


そしてひとりになった男性は先が思いやられるとため息をつく。