どうやらこの世界では魔法を使えないわたしは異質者になるらしい。
「うん……だって、わたしに魔法を使う力すらないし」
魔法を使う“魔力”。
魔法を使うのに必要不可欠のもの。それがないわたしが魔法を使えるわけがない。
これは小説でもマンガでもない。わたしが体験している現実で……
「それはない。ヒナノは魔法を使える」
思考が止まった。
一体、どういうこと……?
困惑したわたしはユキを見つめる。
濁りのない真っ直ぐな瞳で迷いなく言ったユキからはとても嘘だと思えない。
つまり、わたしには魔力があるということ……?
夢を見ているのかと思った。
どういうことか理解できずにわたしはそのままユキに聞く耳たてる。



