「ユキ、地面がやべえことになってんぞ」
「あんな数の騎士達、ユキひとりでやったの?」
「……いや、ひとりじゃない」
ひとりじゃない? それってどういうこと?
だって兵隊さんと戦ったのはユキだけだ。わたしはただ立っていただけ。
「とりあえず移動するぞ。騎士団の応援が来るかもしれない」
***
移動した先はユラハの家だった。
ニゲラとわたしはそーっとした足取りで家に上がるのに対して、ユキとアランは我が家のようにズタズタ入ってしまう。
そうして皆で集まって円卓会議が始まった。
「ヒナノ……お前、魔法使えないって本当なのか?」
開口一番に聞かれたものは言われなくてもわかることだった。
「もちろん! 人生で一回も使ったことないよ!」
本当のことを言っただけなのにユキはまだ疑惑の目を向ける。
「魔法使えないっていう人初めて見たな。みんな魔法を使えるんじゃねーのか?」
「人生で一回も使ったことないの……?」
しかしそれは、アランとユラハもだった。



