話にならないと驚き呆れたユキは、すぐさま何かをひらめいたようだ。
そして突然、ユキの手とわたしの手が繋がれた。
「〜っ、あの、ユキさん?」
わたしは甘い疼きというこの状況に相応しくない気持ちでいるのに、ユキは神経を集中している。
目を閉ざす彼は神経を研ぎ澄まして、わたしはただその姿に見入ってしまう。
そしてカッと目を開いたと思ったら、ニヤッと嬉しそうに笑った。
「お前……後で特訓すんぞ。こんなにすげーの持ってるのに、これじゃ宝の持ち腐れだ」
「はい?」
何が宝の持ち腐れなのか、理解が追いつかない。
そんなわたしを置いて、ユキは駆け抜けるように騎士達に向かって行った。
「汝のレーヴを借りて光と紅の剣となす」
ユキの剣が炎と光で鮮やかに色づいた。
そしてその光がユキの身体をまとった。
「クレアツィオ・イッヒ・ゼルプスト!」
剣を振って放たれた光は火花となって、激しく点火して、炎の雷撃へと変化した。



