「ねえ、ユキ」
「ん?」
「ユラハ達って本当に「なあ、なんか騒がしくねえか?」
ユキは「しっ」と人差し指を口元に当てて、耳を澄ましている。
わたしの言葉を遮ったが、ユキの言う通りだったので続きの言葉を呑み込んだ。
たしかに騒がしいというか……ヒソヒソ声が交じり合っている。
「どうしてこんなところに王の兵隊さんたちがいるの?」
「ママもわからないわ。騎士団がこんなところにいるなんて何かあったのかしら……」
近くにいるの親子の会話を聞いていると、どうやら騒ぎの正体は騎士団のようだ。
騎士団がここにいるのが滅多にないとも察せる。
王族の兵隊……日本では全然馴染みのない言葉だ。
どんな感じなのか興味ある。
「ユキ、少し見てもいい?」
「見たいのか? 俺もついてく」
ユキもあの親子の会話を聞いていたようで、わたし達はより一層ざわついている場所へと歩いた。



