「……ちょ、アラン! それ僕の財布!」
「そうだけどさ、私とユラハっていつも一緒だからよくね?」
「え、一緒だけど……でも」
ユラハは押しに弱いというか、アランに特別弱い印象を受ける。
それに一緒という言葉になんだか嬉しそうな顔もしていた。
さすが恋人同士。本当に仲が良い。
というか、熟年夫婦と言われても信じられるくらい貫禄なさってる。
「ユラハだって、私の金でスーパーでよく買い物すんじゃねーか! いいだろ、ちょっとくらい!」
「あ! おいってば!」
アランはユラハに聞く耳も立てずに問答無用で、ニゲラと共にりんご売り場に行ってしまった。
アランは世話焼きなところもあれば、大雑把な一面もあったりして、一言では言い表せないな。
わたしは苦笑いしながらアランを見送った。
ふとユキと目が合って、まっすぐな目にドキっとしてしまう。
わたしはそれに惹きつけられるように、ユキに近づいた。



