「あ、えっと……すみません! お金持ってなかったです!」
「はっはっ、嬢ちゃんはドジだな! ちゃんと財布持って来ような」
結局、買うことができず落胆しながらドラゴンの元に戻った。
ドラゴンはわたしを待ってくれたらしい。
待ってくれるなんて、この子はなんて可愛いんだろう。
ドラゴンはわたしの方に来て、期待に満ちた眼差しを向けた。
あまりの可愛さに罪悪感が募ってしまう。
「ごめんね……りんご買えなかったんだ。わたしここのお金何にも持ってなくて──」
「おい、あれヒナノじゃねーか!? おーい! めっちゃ久しぶりだな〜!」
「ほんとだ。ヒナノちゃんだ」
まさかここの世界で自分の名前を呼ばれる時が来るとは思わなかった。
目をぱちぱち瞬かせながらも声の方に振り向くと、そこにはアランとユラハが。
ふたりの後ろにはユキもいるではないか。
「久しぶりだな……えっと、元気にしてた?」
「うん! 元気だったよ!」



