「こっちだよー! おいでーっ!」
辺りを見回しても姿が見つからなかったので、わたしは両手を広げて待つ。
やがてどこからか翼を広げ羽ばたかせる可愛らしい音が聞こえた。
周りを見渡すと、あの時のドラゴンがわたしのところへ飛んできた。
その小さなドラゴンはそのままわたしの胸に飛び込んで、頭を撫でてやると気持ちよさそうに頭が垂れた。
「ああ……可愛い」
声の主は、やはりあの時のドラゴンだった。
あまりの可愛さに、思わずタジタジ。
この様子からすると、怪我はすっかり治ってすっかり元気になったようだ。
元気なところを見れて、とても安心した。
小さなドラゴンはわたしの視線に気づいて首を傾げる。
「ううん、元気でよかったって思っただけだよ」
ぽけーっとしているドラゴンに微笑めば、ドラゴンは小さな羽をはたばたさせて口角を上げた。
何から何まで可愛いんですけど……!
脳内で悶えていると、ふとドラゴンがわたしから離れて飛び立った。



