でもよくよく考えれば、確かにあの急降下だったら物が吹っ飛んでもおかしくないな。

これじゃ、この世界に物は持ってけないな。


スマホを持ち込まないで本当に良かったよ。


「時間も限られてるし、まずはユキに会いに行こう!」


わたしは頭を切り換えて、急ぎ足で森から出た。

着地場所は前回と同じだったので、記憶を頼りに木々を交わしながら森を抜けていく。


記憶力には自信がある方だ。

現に暗記科目のテストは一夜漬けでも良い点取れて、かつ長期記憶なためずっと覚えていられる。


「えっと、森を抜けたら……確かこっち」


森を抜けて静かな住宅地が見えたら、ユキが一番いる可能性のあるユラハの家に向かう。

といっても、わたしはユラハの家しか知らないからそれしか選択肢が無いのも同然なんだけど。


初めてユラハの家に入った時は驚きの連続だったな。

だって、まず自分の姿が違ってたし。

髪色が瞳に映るように一房持って前にやると、やはり前回と同じく金色の糸をまとっていた。


……もう驚かなくなったな。二回目だというのが大きい。