それでトモくんがユキと友達なら……!
だからトモくんはユキの名前を知ってるのかもしれない。
そうだ。そうに決まってる。
「本当に言ってるんですか……? 違いますよ」
なのに、何故かトモくんは唖然としている。
そしてわたしの仮説を否定した。
「先輩って筋金入りの鈍感ですね」
「鈍感じゃないもん! なんでそんなこと言うの!」
「鈍感です。馬鹿です!」
トモくんは答えを言わず、むしろ悪口を言いながらため息を盛大についた。
あの、ため息したいのはわたしの方です。
「では、本当の強行手段に行きますよ? これを使いたくなかったんだけどな……」
トモくんはぼやきながらも、すぐに真剣な顔になる。
わたしもそんな彼に合わせて、身構えた。
「クレアツィオ・イッヒ・ゼルプスト」
彼の魔法がかかってしまった。



