わたしは黙ったまま、トモくんの続きの言葉を待つ。
「俺、先輩の好きな人の名前知ってるんです」
「……え?」
「バラさない代わりに付き合ってくれませんか?」
ほ、本当に脅しだった……!
いや、嘘をでっち上げて言ったのかもしれないし、まだ勝機はあるはず……!
「じゃあ、見た目は? 名前は?」
「……見た目は黒髪で少し癖っ毛、ですよね?」
明らかにユキのことを言っている。
でも、髪型ぐらいだったらまだ誰にだって当てられるはず……!
「瞳は紅。間違いありませんよね?」
「……っ、どうして!」
「さあ、俺は先輩のことについてなら、何でも知ってますよ」
しかし、先手を打たれてしまった。
自信満々なトモくんだが、こればかりはすごい。



