「その人のどういうところを好きになったんですか?」
「な、なんでそんなこと聞くの……?」
「……僕は……俺は諦める気がないからです」
一人称を僕から俺にしたことでトモくんのクールで温厚な雰囲気の中から男らしさが頭角を現れた。
真っ直ぐな眼でわたしを射抜いてくる。
わたしはその眼に呑み込まれそうになるも、頑張って持ち堪える。
「優しいところ。気づいたらいつもわたしのそばにいてくれたの。色んなこと教えてくれて、わたしを支えてくれたなくてはならない存在なの」
わたしは諦めさせるように、トモくんに入る隙を作らせないようにはっきりと言った。
わたしはユキを想う気持ちを終わらせたくない。
またいつか一緒に夢の続きを描きたい。
意思を持って発言したつもりだが、トモくんは嬉しそうに笑った。
笑った……?
わたし、何かおかしなことでも言った……?



