「……トモくん、って言ってたかな」
「そうですけど……」
「雛乃に何かしたら許さないからね」
「え……」
トモくんは目を見張り、お兄ちゃんを見る。
「雛乃のことが大事なんだよね?」
「はいっ! もちろんです……って、いいんですか?」
「何、ダメって言ってあげようか?」
「そんな、滅相もありません!」
お兄ちゃんに「ありがとうございます!」としっかり頭を下げたトモくんはわたしと向き直る。
「雛乃先輩のお兄さんから許可をいただけたので、正々堂々とアタックできますね」
トモくんは「覚悟しといてください」と耳元で囁いて妖艶に口角を上げた。
「……っ」
「おい、今雛乃に何をした……!?」
「内緒です。迅さん、少しいいですか?」
トモくんはそういえば、迅さんのところへ行ってしまう。



