あの夢の続きをもう1度描けたら


トモくんに仲良くなれないと言われたら身を引かなければいけない。


そう考えていると、家の前に着く。

トモくんが隣にいるのに断ることを考えるわたしは最低野郎だ。


「雛乃先輩。今日はありがとうございました……では、また明日ですね」

「そうだね……」

「良い返事を期待しています。ではまた……」


トモくんが踵を返そうとした時だった。


「ごめん、トモくん……まだ帰れないかも」

「え?」


トモくんの背後にお兄ちゃんが立っている。

それもものすごい形相だ。


わたしがトモくんの背中越しを見つめて青白くなっているのを見て、彼も同じものを見るために振り返る。


「あれって……雛乃先輩のお兄さんですか?」

「う、うん……え、ちょっとトモくん!?」


トモくんは鬼の顔をしているお兄ちゃんのところへ勇敢に立ち向かう。