わたしは期待に満ちた眼差しでお兄ちゃんを見つめた。
「でも……中絶された人もいるのは確かだ。真白さんは中絶されたところを見て嫌気がさして逃げたって言っていたから」
「……そうだよね」
「ごめん。ユキ達と出会わせなかったら、こんな苦しい想いをしないで済んだかもしれないよね」
心苦しい顔つきでわたしを見つめている。
やっぱりお兄ちゃんにはバレバレだったみたいだ。
「……お兄ちゃん、ユキ達と出会わせてくれてありがとう。お兄ちゃんのおかげでこんなにも変われたんだから」
たとえ世界中の誰もが信じなくても、わたしだけは願おう。
「ユキもきっとどこかで生きてるって信じるね」
この恋が尽きない限り、そう信じてみよう。
始めから諦めたくないから。
「……そうだね。俺はザラームと会って普通に会話したいな」
「ザラームさん、カッコよかったな。お兄ちゃんの世界一の味方だって言ってたよ」
「……っ、頼む。泣かせないでくれ」



