重い雰囲気が漂う彼らの輪に入る勇気がなく、その場に佇んでしまう。
「あの! ありがとうございました!」
しかし、いくら聞いてもちんぷんかんぷんだし、わたしが聞いていい内容なのかわからないので、重い空気を壊すように明るく声をあげた。
「おう、いいってことよ! ユラハのお風呂は気持ちいいからな。ユキがまっしぐらにここに来るのわかるわ!」
「僕のお風呂が気持ちいいのはアランの協力あってこそだけどね。ゆっくりできた?」
「はい……! とても気持ち良かったです!
本当にありがとうございます!」
「それなら良かった」
そこには、先程の彼の他にもふたりいた。
「自己紹介がまだだったな。私はアラン。こいつは……」
「ユラハって言います。よろしくね」
赤茶色のウェーブの髪にサファイアの瞳の女性がアランさん。
少し伸ばした緑がかった黒い前髪をセンターで分けている温和な印象を与える男性がユラハさん。
アランさんは儚い感じの綺麗な顔をして、とてもハキハキと喋る上に言葉遣いがどこか男性寄りで、見た目との相違がすごい。
ユラハさんは見た目通り、優しそうだ。



