「出てって! 変態!」
彼が洗面所から出ていくよりも先にわたしはお風呂場に戻った。
物理的にドキドキしてしまい、ヘナヘナと壁に寄りかかりながら身体の力を抜かしていく。
は、恥ずかしすぎて死ぬ……っ
数秒後に歩く音が聞こえて遠くなったので、彼がいなくなったと察した。
おそるおそる出てみると、やはり彼の姿はなかった。
「これ……」
その代わり、服が置かれてあった。
わたしのことを心配したついでに着替えも用意してくれたのかな……。
彼の優しさを直々に感じる。
流石に先程の態度は良くなかったなと思い、後でちゃんと謝ろうと決めた。
とりあえず置いてあった服を着てみたものの、彼がどこにいるのかわからない。
「……こね」
「ってことじゃねえの?」
洗面所から出て、記憶を頼りに来た道を戻るとどこからか話し声が耳に入った。
彼の声と知らない声がふたつ。



