ありがとう……ザラーム、ユキ、ユラハ、アラン。
そして雛乃とニゲラ。
本当は生まれなかった命だけど、18年生きられて心から感謝してる。
トラオムが最期の姿を見たくなくなった俺は自分だけ先に元の世界に戻った。
雛乃……まだあそこにいるかな。
でも大丈夫だろう。
どんなに時間がかかっても、ちゃんと戻すから。
それにトラオムでどんなに長く過ごしても、地球では時間など何も進まないし。
俺は親に今までの感謝と謝罪を入れて、あの人のところへ向かうのだった。
***
包丁見せたら、見事に震えてくれた。
見てて快感を覚える。
俺はこんなにも狂うようになったんだな……自分に嘲笑して、目を細めて陽気に笑った。
「結婚したって聞いたけど、その奥さんはどこにいるの……? せっかくこんな情けない姿を見せたかったのに」
「ひぃ……お前は誰なんだよ!? いきなり俺の前に現れて! 人間じゃねえだろ!?」
こいつは叫び声を上げるが、俺には関係ない。



