一応雛乃の様子を窺って、ちょうど良いタイミングで強制送還しているつもりだ。
雛乃はいつもこの世界に戻る間にすやすやと眠ってしまう。疲れたのだろう。
「エレレセッド」
雛乃をベッドに寝させて、俺は時間を操って翌日の朝にさせて、またいつも通りの日々を始めるのだ。
夢だって思えるように、雛乃がトラオムに来た時はいつもこうしている。
トラオムは俺が創り出した幻でもあって、本物でもある。
「今日も雛乃部屋なの?」
「うん、相変わらず」
親にも不自然に思われないように、俺が雛乃に『最近勉強に目覚めたらしい。ご飯は部屋で勉強しながら食べたいって』と言い訳しているのは内緒だ。
雛乃の部屋にご飯を持ち込み、俺は食べ始める。
俺の胃袋は人よりも大きいから、2人分の食事は容易いものだ。
ユキとアランとユラハを幸せにしてくれるお礼だ。
その代わり、俺が全てを終えたその時は勉強頑張ってね。
時空の魔法を使う前はいつもそのルーティンを繰り返している。



