『お兄ちゃんがわかんないよ……っ』
柚子ちゃんや雛乃には申し訳なかったけど、俺は柚子ちゃんを家族以上に思えなかった。
柚子ちゃんも雛乃もそんな真実を知らないから、何も悪くない。
秘密にすることでしか守れない自分が悪いんだ。
だけど柚子ちゃんはその後も何度も俺に会いにきてくれた。
健気で雛乃には冷たく当たるところもあるけど、それも彼女が雛乃を親友だと思っているからと知っていた。
とても良い子で、元気に育って良かった。
なんて、まるで親みたいなことを思ってしまった。
***
雛乃はなんの偶然か、ユキとアランとユラハと一緒に過ごすようになった。
そして3人が雛乃と一緒にいると、今までは違う笑顔を浮かべて幸せそうだった。
絆されていて、ほどけることのない強い信頼関係を築いていた。
そのチームワークにザラームの騎士団も2度もやられてしまったようだ。
ザラームは『ヒナノ様は何も悪いことしてないので様子を見守ってはいかがでしょうか』と提案したので、その要求を呑んだ。
家族の笑顔を壊したくなかった。



