ちょっとあの父親と似てるんだ。
目のところとか鼻の形とか。
『こないださ、変なのがあって』
『変なのって?』
『私の部屋に物置があるんだけど、あそこから変な光がぶわーって出てきたんだよね。でさ、その光がやけに不気味でさ……怖いからやめておいた方がいいと思って……雛乃?』
『えっ、あーうんうん! やめておいて正解だよ! 怖いものには飛び込まない方がいいよ!』
雛乃と柚子ちゃんにお菓子を届けに妹の部屋に入ろうとしたら、その会話を耳にして確信を得た。
その光は紛れもなく、トラオムへの扉だ。
あのアイドルに似ている顔立ちといい、その光のこといい……。
残りのひとりは、柚子ちゃんだ。
俺は柚子ちゃんともっと話したくて、近寄った。
そんな俺たちを見て雛乃はお風呂掃除もしてくれたらしい。
相変わらず気遣い上手の優しい人だ。



